真夜中に 雨の音しか聞こえない
象のことを思い出す
声はどこかに眠っている
遠い国の光や 眩しかった海や 思い出せない
戻ってこない色たちを抱えている
数々の温もりと冷たさ 優しさと怖さ
見えない深さは、真夜中に行き先を求めない
ただ、ここに在る 感じている情景には肌触りがある
忘れてしまった生きもの達が 静かに静かに、僕を見つめ返す
そんな時、水は少し溢れる
オレンジ色の天井を見つめている
祖父は、ずっと一人でこんな天井を見つめ続けたのだろうか
鴉が遠くで鳴いている
未明の後には この滴も乾くだろう
この夜道は明けないだろう
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