駅前のベンチでアイスクリームを食べる父と娘。
親子を交互に見つめながら、僕はアイスクリームを運んだ。
93歳の誕生日を迎えた白髪の女性は、浴槽に浸かりながら
遠い目から急に僕を見つめて、「あっという間だから。。好きなことやらないと、
あとは一生懸命にやったよ・・」と言って、自らの旅の話に流れていく。
いつもよりゆっくり、桶からお湯を掬って15回くらい流し湯をかける。
久々に自分の影を見ながら街を走った。
景色はどんどん遠のいていって、アスファルトと光が眩しく残る。
そのうち頭がボーッとしてきて、何の為に自分が走っているのかを確かめながら
数え切れない車に追い抜かれて、そのうち影も感情も薄れていく。
暗くなった公園の自動販売機で間違ってボタンを押す。
出てきた缶のロイヤルミルクティーを一気飲みしながら、
3年前から随分とシワが増えた写真集のダミーを一度だけ
ゆっくりと見返した。
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