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執筆者の写真daisuke tanaka

引っ越しの夢。





2018 12.1


引っ越しの夢で目が覚めた。

夢の中では、僕が今まで一人暮らしをしてきた家々の風景が、

ひとつの空間に存在していた。


その場所は、何故か今働いている施設の場所にある。

どうやら僕は、すごく懐かしい感覚と共に、

その家に荷物を取りに戻る用事があったようで、

部屋には少し若い女の子が眠っていた。


その子は目を覚ますと、すごく親切に丁寧に

僕を安心できるレストランに連れて行ってくれた。

そして、一緒に柵のようなものを越えた。


荷物を運び終わると、いつの間にか日が暮れていて

僕は夜の路地でお祝いされていた。

知ってるような、知らない人達がビールで僕に乾杯をしてくれた。

 乾杯をしながら、その人達から

「よく一人で暮らしてきたと思うよ、よく頑張った、

 寂しかったけど、もう引っ越しだからねー!」

と言われて、ものすごく切なくて胸が詰まってしまった。

今まで、嫌いだと思っていた一人暮らしの寒かった家や、

それに纏わる記憶や時間に、もう戻れないんだな、、と

実感すると複雑な気持ちが崩れて、涙に変わっていった。

目が覚めても、しばらく止まらず溢れてきた。


今の家に、奥さんになった人と引っ越しをしてきてから

今日で一年になる。

一人暮らしの荷物が沢山残ったまま、そのままどこか

自分だけの面持ちで、僕は奥さんと暮らしていたのかもしれない。


まだまだ見えない。

夜明けの窓から木々の向こうに明星が光っていた。


1年経って、もう一人じゃないと気が付いて、引っ越しをした夢をみた。

まぁ、寂しげで愛しいやつには手を振ってあげてもいい。


そして胸の奥のほうに向かって、息を吐く。


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